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空を見上げて

『走っているときに頭に浮かぶ考えは、空の雲に似ている。

いろんな大きさの雲。それらはやってきて、過ぎ去っていく。

でも空はあくまでも空のままだ。

雲はただの過客(ゲスト)に過ぎない。

それは通り過ぎて消えていくものだ。

そして空だけが残る。

空とは、存在すると同時に存在しないものだ。

実体であると同時に実体でないものだ。

僕らはそのような漠然とした容物の存在する様子を、ただあるがままに受け入れ、呑み込んでいくしかない。』

【走ることについて語るときに僕の語ること 村上春樹】より